今日は税効果会計について学びましょう。
1,税効果会計とは?・そもそも会社も税金をとられる!
・会社の会計と、税金を取るための計算には違いがある!
2,税効果会計の仕訳の仕方
・税効果会計の対象になるものとは?
・税効果会計で使う勘定項目はたった3つ!
1,税効果会計とは?
・そもそも会社も税金をとられる!
よく法人税等とまとめられます。
損益計算書を見てみると、
・・・・(上記省略)・・・・
税引前当純利益 ××××
法人税、住民税および事業税 ××××
法人税等調整額 ×××× ××××
当期純利益 ××××
(××××には数字)
と書いてあります。
・会社の会計と、税金を取るための計算には違いがある!
さて、税金を取られる時なのですが、
企業が会計でだした収益と費用と、税金をとる(課税する)ためい計算したもの(益金と損金)ばぴったりあえばいいのですが、実はこの計算、微妙に合わないんです。
会計は発生主義。なにか取引があってから仕訳を行いますが、税務上はそうはいかないので、このような違いが出るんです。
ちなみにそれぞれ名称があります。
①会計上は収益にならないのに、税務上では益金になるもの
(利益が多く見られて、今期より課税されちゃう・・・。)
これを、益金算入項目といいます。
②会計上は収益だけど、税務上では益金にならないもの
(利益が少なく見られて、今期、課税が抑えられる!)
これを、益金不算入項目といいます。
③会計上の費用じゃないのに、税務上の損金になるもの
(負債が多く見られているので、今期、課税が抑えられる!)
これを損金算入項目といいます。
④会計上の費用なのに、税務上の損金ならないもの
(負債が少なめに見られている!今期課税が多くなっちゃう!)
これを損金不算入項目と言います。
場合によっては、将来解消されるものもあります。
(期中に解消されず、翌期以降に解消されます。2年後3年後ってことも・・・。)
それまではずっと違いが出てるまま。
どの違いをほったらかしにしておくわけにはいかない!ということで、
法人税を引かれる前の利益と、実際とられる法人税等を合理的に対応させるために税効果会計があります。
2,税効果会計の仕訳の仕方
・税効果会計の対象になるものとは?
ちがい4パターンには、それぞれ税所得上のの計算で「将来解消されるもの」と「将来解消されないもの」があるんです。
将来解消されないものを「永久差異」、将来解消されないものを「一時差異」と言います。
ちなみに、永久差異にあたるもの
・交際費
・寄付金
・罰課金
・受取配当金です。
(この項目は簿記1級では覚えなくちゃいけないものです!)
なので、税効果会計には、
・益金算入項目の一時差異
・益金不算入項目の一時差異
・損金算入項目の一時差異
・損金不算入項目の一時差異
が対象になります!
・税効果会計で使う勘定項目はたった3つ!
まずは勘定科目を紹介しますね。
・法人税等調整額
・繰延税金資産
・繰延税金負債
です。
・法人税等調整額
税効果会計されると、貸借対照表では繰延税金資産、繰延税金負債を計上します。一方資産と負債ですので、その差を期首と期末で比較しなければいけません。その比較のときに「法人税等調整額」を損益計算書に書いていきます。
繰延税金資産
こちらは違い(差異)が出たときに、今期は多く課税されているけど、将来はこの差異が解消されるときにつかう勘定です。
結果将来は課税所得上減らされる(減算される)ものなので、この差異を将来減算一時差異といったりします。
問題を解いてみましょう。
問題
×2年度において、貸倒引当金の損金算入限度超過額が100,000円あった。法定実効税率は40%とする。
なお、前期以前に税効果会計を適用すべき一時差異は生じていない。
貸倒引当金の損金算入限度超過額は一時差異にあたります。
また、損金算入超過額は、ここまでなら損金に入れて税金を減らしますよ、というもの。
今回は超えちゃった分、損金には入らないのでその分100,000円に対して税金がかかります。
でも一時差異なので、いずれこの税金は解消されますよ!
なので、100,000円に実効税率の40%をかけて、40,000円。
将来税金もどってくるんだ!ということで資産に計上してください!
借方 | 貸方 | ||
繰延税金資産 | 40,000 | 法人税等調整額 | 40,000 |
です。ちなみに解消されたときは
借方 | 貸方 | ||
法人税等調整額 | 40,000 | 繰延税金資産 | 40,000 |
と仕訳します。
・繰延税金負債
こちらは繰延税金資産の反対。
今は差異が生じて、少なく課税されているけど、将来その分のツケがくるよ、というもの。
結果将来は課税所得上増やされる(加算される)ものなので、この差異を将来加算一時差異といったりします。
問題を解いてみましょう。
問題
そのた有価証券に関する×1年度の決算の仕訳をしなさい。(法定実効税率は40%)
取得原価 | ×1年度 | ×2年度 | |
A社株式 | 10,000 | 20,000 | 13000 |
有価証券が20,000-10,000で10,000の価値が上がりました。
取得原価20,000円分の価値としてみられているけど、本来は価値が上がった10,000円分にも課税が必要です。
今回ではなく、今後この税金が多めにとられるので繰延税金負債として考えます。
なので仕訳は、10,000に法定実効税率40%をかけて4,000円。
借方 | 貸方 | ||
その他有価証券 | 10,000 | 繰延税金負債
その他有価証券評価差額金 |
4,000
6,000 |