商業簿記2級の大きな単元のひとつに「連結会計」があります。
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・連結財務諸表ってなんのために作る?
・支配獲得日
・非支配株主持分
・のれん
1,連結会計って連結財務諸表をつくること
連結会計のゴールは、連結財務諸表をつくることです。
企業は1つで活動していれば、作る必要はありませんが、実際がそんなことありません。
親会社がいて、子会社がいてグループになっている企業が多くあります。
連結財務諸表ってなんのために作る?
親会社のグループはどれだけ資産があるの?
親会社のグループは今期どれだけもうけたの?
がわかるように企業グループ全体の財政状況、経営成績、キャッシュフローを総合的にまとめる必要があります。
その作成された財務諸表が連結財務諸表なんです。
会社だけでなく、会社に準ずる事業体や組合なども入ります。
ちなみに企業グループは支配する側の「親会社」と支配される側の「子会社」などからなります。
親会社とは
ほかの企業の財務や営業、事業の方針を決定する機関を支配している会社です。
親会社に連結される子会社を「連結会社」といいます。
2,連結財務諸表の作り方は資本連結と成果連結の2つ!
この2つの違いについて説明します!
資本連結とは
子会社の資本を親会社と、親会社でない法人や人にわけることです。
親会社は自分が投資に対応する子会社の資本を相殺消去します。(差額はのれん勘定で表します。)
親会社に帰属しないものは、「非支配株主持分」に切り替えます。
こうした作業を資本連結をいいます。
成果連結とは
連結会社どうしの取引や債権債務などの相殺消去や、商品などの棚卸資産に含まれる未実現損益の消去などが当てはまります。
連結会社同士の取引は、ただの内部移動と考えるのです。
このような作業を成果連結と言います。
今回は資本連結についてまとめました。
3,資本連結でおさえたい3つの用語
資本連結でキーワードになるのが、
・支配獲得日
・非支配株主持分
・のれん
です。
この3つの役割を抑えておくと、資本連結がやりやすくなりますよ。
・支配獲得日
親会社が株式などの資産を取得して、とある企業を子会社とした日のことをいいます。
この時点で、親会社と子会社の全体の様子がわかる連結貸借対照表がひつようです。
支配獲得した時点で、親会社が投資した分と、それに対応する子会社の資本を相殺する必要があります。
・非支配株主持分
親会社がすべての株を購入して子会社にすれば、出てこない単語ですが、実際はそうは行きません。
親会社が購入しなかった株をもっている他の企業や人がいます。
親会社が所有していない部分を非支配株主持分といいます。
例えば、子会社の全株式が100万円分あって、親会社が80万円分の株をもっているとします。
となると親会社は全体の80%、残りの20%が「非支配株主持分」になるわけです。
・のれん
子会社の資本と親会社の投資した金額にたいてい差額が出ます。
この差額は「のれん」という勘定を記します。
のれん
のれんとは、
資本金や資本剰余金、利益剰余金、固定資産など、具体的な数字で表せない、その会社の資産です。
例えば人材という資産、ブランド力などが挙げられます。
のれんは、企業の合併などにも、使われる項目ですよ。
4,こんな問題が出てきます!
問題
1年度、P社はS社の発行済株式総数の70%を1,400,000で支配し、当期より連結財務諸表を作成することになった。
同日におけるS社の資本金は1,100,000、資本準備金は250,000、利益剰余金は150,000であった。
支配獲得時の連結貸借対照表を作成するにあたり、必要な連結仕訳を記しなさい。
[st-kaiwa2r]何でP社とかS社?[/st-kaiwa2]
Pは英語でparent、Sはsubsidiaryの頭文字です。
まず、獲得したS社の資本を借方に記入します。
借方 | 貸方 | ||
資本金
資本準備金 利益剰余金 |
1,100,000
250,000 150,000 |
次にS社の株をS社の資本に対応するように記入します。
貸方に記入しましょう。
借方 | 貸方 | ||
資本金
資本準備金 利益剰余金 |
1,100,000
250,000 150,000 |
S社株式
|
1,400,000
|
ただ、この借方の資本はすべて親会社の分ではありません。
非支配株主持分の分も含まれています。
ここで非支配株主持分の金額を貸方に記入します。
総数の70%が1,400,000なので、1%は、
1,400,000÷70で20,000ですよね。
非支配株主持分は100ー70=30%なので、
20,000×30=600,000と出せます。
借方 | 貸方 | ||
資本金
資本準備金 利益剰余金 |
1,100,000
250,000 150,000 |
S社株式
非支配株主持分
|
1,400,000
600,000
|
すると借方の合計は1,500,000、貸方の合計は2,000,000と貸借が合いません。
そこで、その差額を「のれん」勘定で記入します。
差額500,000を数字が少ない方に記入して完成です。
借方 | 貸方 | ||
資本金
資本準備金 利益剰余金 のれん |
1,100,000
250,000 150,000 500,000 |
S社株式
非支配株主持分
|
1,400,000
600,000
|
いかがでしたか?
この仕訳は支配獲得時に行うことを覚えておいてください。
連結会計の続きはまた次回で紹介しますね!