有価証券は簿記の上では、「債券(国債、地方債証券、社債など)」と「株式」などを言います。
有価証券には目的によって分類が4つあります。
それぞれの役割を紹介して、今回は売買目的有価証券についてくわしく見ていきましょう。
1、有価証券の分類は4つ!それぞれの役割をおさえよう!
・売買目的有価証券
・満期保有目的債券
・子会社株式および関連会社株式
・その他有価証券
2、売買目的有価証券を手に入れた時の仕訳は?
3,売買目的有価証券を払い出したときの仕訳は?
4、売買目的有価証券でひっかかりやすい端数利息
5、期末時、有価証券の評価は?
1、有価証券の分類は4つ!それぞれの役割をおさえよう!
・売買目的有価証券
売買目的有価証券は時価の変動により利益を得ることを目的としてもっている株式や債券のことです。
・満期保有目的債券
満期まで所有することを前提として、保有する社債とその他の債権のことです。
・子会社株式および関連会社株式
子会社の発行する株式と関連会社の発行する株式です。
相手の会社の株式を過半数、取得すると子会社になります。
相手の会社の株式を60パーセント以上取得すると、関連会社になります。
・その他有価証券
上記のどれにも当てはまらない有価証券のことです。
2、売買目的有価証券を手に入れた時の仕訳は?
売買目的有価証券を手に入れた時は、「1株(または1口)当たりの値段×枚数」で借方勘定に記入します。
手に入れるときに必要な費用も「売買目的有価証券」と合算します。
れいだい
売買目的でA会社の株式50株を1株20,000円で購入した。代金は手数料5,000円とともに小切手を振り出して支払った。
という場合は、20,000×50で100,000。手数料と合わせると105,000なので、
借方 | 貸方 | ||
売買目的有価証券 | 105,000 | 当座預金 | 105,000 |
と表すことができます。
3,売買目的有価証券を払い出したときの仕訳は?
売買有価証券を払い出すとき、買った値段で売るわけではありません。
株や債券はその時によって、1株(債権は1口)の値段が変わるので、その差額を「有価証券売買益」と表すことができます。
れいだい
売買目的でA会社の株式100株を1株6,100円で売却し、当座預金に入金した。
この株式は以前、60株を1株6,500円、40株を5,500円で購入したものである。
という場合は、購入時の売買有価証券の金額は
60×6,500=390,000と
40×5,500=220,000で合計590,000。
まずは売買有価証券が無くなったので、貸方に売買目的有価証券を記入します。
また当座預金には売却した金額、
6,100×100=610,000です。
610,000-590,000=20,000の差額が出ます。
この差額は「有価証券売却益(もしくは損)」と表示します。
借方 | 貸方 | ||
当座預金
|
610,000
|
売買目的有価証券
有価証券売却益 |
590,000
20,000 |
と表すことができます。
債券の場合も見てみましょう。
れいだい
売買目的でB会社の債券額面総額1,000,000につき(1口100円)、を1口95円で購入した。期日がきたので、1口98円で売却し、代金は後日受け取ることとした。
この場合1,000,000÷100で10,000口を購入したことになります。
購入したとき、95円×10,000口=950,000(売買目的有価証券)
売却したとき、98円×10,000口=980,000(未収入金)
の金額になります。
この仕訳は、
手放した有価証券を貸方に、金額を借方に記入します。
借方 | 貸方 | ||
未収入金ん
|
980,000
|
売買目的有価証券
有価証券売却益 |
950,000
30,000 |
と仕訳できます。
4、有価証券でひっかかりやすい端数利息
利払日以外の日に取引するときは、前の利払日から売買当日までの利息(端数利息)を計算し、受け払いが行われます。
ちなみに
利払日が3月と9月、年間の利息が1200円(月100円)の債券があるとします。
5月末まで債券を1000円分持っていたAさんがBさんに渡すとき、
4,5月分はAさんがもっていたので、Bさんは、200円分の利息と債券1000円を支払います。
9月末になればBさんは会社から半年分600円をもらえます。
この場合のBさんの仕訳は、
借方 | 貸方 | ||
売買目的有価証券
有価証券利息 |
1000
200 |
現金など | 1200 |
と表します。
9月末になると
借方 | 貸方 | ||
現金 | 600 | 有価証券利息 | 600 |
と表せます。
端数利息は「有価証券利息」勘定で計上します。
5、期末時、売買目的有価証券の評価は?
その時の時価が、購入時の帳簿価格より高ければ「有価証券評価益」を、
その時の時価が、購入時の帳簿価格より低ければ「有価証券評価損」を記入します。
れいだい
期末に保有する有価証券の決算整理仕訳をしなさい。
銘柄 | 帳簿価格 | 時価 | 適用 |
A社株式 | 120,000 | 130,000 | 売買目的 |
B社株式 | 120,000 | 90,000 | 売買目的 |
C社債券 | 40,000 | 50,000 | 売買目的 |
それぞれの差額は、10000、△30,000、10,000を相殺すると、△10,000になります。
借方 | 貸方 | ||
有価証券評価損 | 10,000 | 売買目的有価証券 | 10,000 |
と仕訳します。